機体の残骸引き上げ作業には、イギリス海軍の潜水夫が動員されたが、当時の技術では水深100mが限界であったため、それ以上の海底に沈んだ残骸を網でさらうために、イタリアの民間トロール船もチャーターされた。このチャーター料もアメリカドルの現金払いとなり、事故調査官は闇ドルを現金払いするという二重のリスクを冒して、請負人に直接支払ったという。当時の固定通貨相場で絶大な価値のあった米ドルでの現金払いは、イタリア側の請負人にとっては望外の有利な取引であったが、イタリア政府を通さない違法行為であり、物的にも外交的にも様々なトラブルの原因になりかねなかった。コメットの残骸探索のために手段を選ばなかったイギリス当局の切実さがうかがわれる。

Notes

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